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コラム一覧へ戻る公開日
2025年04月17日
16:51
更新日
2025年04月17日
16:51
インタビュー 元吉本芸人・イベント司会者 島あたるさん④ 外国人レーサー登用とかドーム型ボート場はどうやろ‼
「芸人やめる」と吉本に伝えたら、「大勢に影響なし、よかったやん」と
男三十にして立つとばかり、30歳で吉本芸人を辞め人材派遣会社を設立した島あたるさん。ボートへの情熱は衰えず、社長業とイベント司会者の二足のわらじを履くことになった。連載最終回はボート界への愛情たっぷりの提言で締めた。
島あたる(以下=島) 芸人業がジリ貧の中、30歳で家内と結婚して子どもも生まれた。ここらで見切りをつけないと40歳までズルズルやってまうなと思ったんです。すると広告代理店のボート担当者から連絡があり「今後は吉本を通さず直で交渉できませんか」と。ボクは自分でつくった人材派遣の会社に専念したかったけど、やはりボートが好きだったので「イベントスタッフの人材も派遣していいですか」と。これならつじつまが合うでしょ。そこで吉本に仁義を切ろうと出向いたら「大勢に影響はございません。どうぞご自由に。よかったやん」だと。うれしいやら寂しいやらですわ。そして縁起のいい芸名をつけようとなり、島津江の「島」、当たるの「あたる」に決まったんです。
島は「芸人をやめて25年。いまだにボートを語れるから本当にありがたい」と言う。そんな男だけにボート界への提言も熱い。
島 今はどの場もボートパーク化が進んでいる。子どもの遊ぶ場所があったり、カップルで観戦できるペア席があったり。でもね、逆に昔の鉄火場の雰囲気を復活させたらどうだろう。歩きたばこをプッカプカ吸い、串かつやどて焼きをガンガン立ち食いし、ビールをグイグイ飲んで大声で声援を送る。いわばボートパークと鉄火場の融合。思わぬ化学反応を起こしてウケるかもね。もうひとつ。屋根付きのドーム型プールをつくってもらいたいね。ボートは天候に左右されるスポーツだから強風とかで中止になるケースがある。ファンはがっかりですよ。特に泊まりがけで旅打ちにきた客はたまったもんじゃない。ドームなら中止は回避できるし、騒音問題も起きないから売り上げが伸びるナイターやミッドナイトも開催しやすくなる。面白いと思いますよ。
「現場でレースを見てほしい」と島さん
まだまだ伸びて盛り上がる業界だから、ユニーク提言を!
世は多様性の時代。島はここにも着目する。
島 外国人ですよ。海外に目を向けて外国人にボートレーサーの門戸を開くんです。白人や黒人が交じり合い、身長2メートルもの巨人選手がおったり、身体能力が高くバネの強い黒人選手が曲芸のようなターンを繰り出し「あいつ、何ちゅう乗り方しとんねん」とファンの目を白黒させたり。絶対に盛り上がると思いますよ。競馬では外国人騎手と競い合い、競輪でも外国人選手と勝負するレースがあり、相撲では同じ土俵で争う。ボートでもぜひ実現してほしいですね。外国人といえば韓国にもボートレースがある。韓国人レーサーと交流戦を開催するのも面白い。まさに多様性ですよね。
最後は有識者委員会のような組織をつくること。若いZ世代をターゲットにしてテレビの構成作家や人気プロデューサー、芸人や売れっ子タレントを委員にして面白いアイデアをたくさん言わせる。たとえば「選手が仮装して走るのはどや」とかね。まあ公営競技という側面があり、シビアで厳しい世界だからあまりふざけたことはできませんけどね。
島が最近ショックを受けたことがある。知人の若者に「ボクはネットで舟券を買ってネットでレースを見る。一度レース場に連れて行ってください」と言われたことだ。
島 アリャリャ~ですよ。ボートの入り口がレース場ではなくネットになってしまってる。そういう意味でもまだまだ伸びる余地がある業界です。関係者が一致団結してボートレースを盛り上げ、発展させていきましょう。
微力ながらボクも頑張っていきます。
=おわり
(構成=長浜喜一)
▼しま・あたる 本名は島津江英樹。1970年8月3日生まれ、大阪市出身。吉本興業のお笑いカルテット・電車道のボケ担当で人気を集め、引退後、全国のボートレース場でイベント司会者として活躍。派遣会社社長。