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コラム一覧へ戻る公開日
2025年05月01日
16:50
更新日
2025年05月01日
16:50
インタビュー 濱野智紗都さん② 19歳でキャスターの世界に入ったきっかけは「若くて、ボートに詳しい女の子はいないか」

困るのは、ファンから「ボートの楽しさは何?」って聞かれること
ボートレースキャスター濱野智紗都さんが現在の仕事に就くようになったのはごくごく自然な流れだった。そんな濱野さんにとってボートレースとは?
やまと学校(ボートレーサー養成所)を卒業したらレーサーとして頑張ろうと夢見ていた私でしたが、思わぬケガのため志半ばでリタイアすることになってしまいました。やっぱり最初はちょっと落ち込みましたね。
でも、決してボートが嫌いになったわけではなかったので、学校を辞めた後は、デビューしたら所属する予定だった滋賀支部のイベントとかにちょこちょこお邪魔したりしていたんですよ。そして19歳の時、ボートレース尼崎の実況アナウンサーの千葉誠一さんや児島の実況アナウンサーとして有名な椛島(かばしま)健一さんも所属している事務所に入れていただいてボートレースのお仕事をするようになりました。何でも事務所の社長の内田和男さんが「若くてボートのことが分かっていて、なおかつ、すぐ結婚しない女の子はいないか」(笑)って探していたらしくて。それを耳にした知り合いの方が「条件にぴったりな娘がいる!」(笑)って私を紹介してくれたんです。
以来20年近く、ボートレースキャスターとして全国のレース場を回って多くのボートファンの皆さんと触れ合ってきました。
その間、ファンの方に「濱野さんから見てボートレースの楽しさって何ですか」って聞かれることがしばしばあります。でも、私にとってボートは生まれた時からずっと身近に当たり前のようにあって、一時はプロのレーサーになろうとしていた時期を経験して選手の厳しさやシビアな面を知りましたし、キャスターになってからは常に選手の近いところにいて勝負に懸ける選手たちの苦悩や大変さにじかに触れることも多く、あまりにもいろいろと裏側を知りすぎてしまったんですよね。ですから、もちろんボートレースは昔も今も大好きなんですけど、ボートの楽しさっていわれてもうまく答えられないというのが正直なところですね。

ブラマヨの吉田さんをゲストにYouTubeで解説・予想も(G1太閤賞競争=ボートレース住之江公式チャンネルより)
20年近く前は、選手も目が血走っていて話しかけるのも大変
最近よく思うのは私がキャスターのお仕事を始めた20年近く前と今ではレーサーもファンもレース場も、ボートを取り巻く環境や雰囲気が大きく変わったなあということです。昔はレーサーも目が血走っていて話しかけるだけで怒鳴られることが珍しくなくて、取材の時にも選手のご機嫌を損ねないように常に気を使っていました。レース場に集まるファンも昔はおじさんばっかりでレーサーを賭け事の駒にしか見ていないような人も多くて何となく殺伐とした雰囲気が漂っていましたけど、その点は今すごく変わりましたよね。
ボートレースはもちろんギャンブルなんですけど、それ以上にスポーツとして競技として楽しむファンが増えてきましたね。選手の方も、ファンや私たちキャスターへの対応が昔とは比べものにならないくらいソフトでフレンドリーなものになってきています。その変わってきた感じを身をもって味わえたこと、それを私はすごくうれしく思っていますし、そのことをこれからも大事にしていきたいなと考えているんですよ。 =つづく
(聞き手=清水一利)
▼はまの・ちさと 1988年京都市生まれ。幼い頃、太秦の東映京都撮影所で子役として活躍した後、16歳でボートレーサーをめざしてやまと学校に入学。ケガのため退校後は各地のレース場でMC、リポーターなどを務めている。