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コラム一覧へ戻る公開日
2025年05月15日
16:30
更新日
2025年05月29日
19:01
インタビュー 広島・巨人の元投手 川口和久さん① 田んぼの仕事を終えると、近くのボートピアに行ってレースを楽しんでいます

郷里の鳥取市に4年前Uターンして農業を
小気味いいピッチングが懐かしい。広島カープの左腕として大活躍、巨人を経て、コーチや解説者をしてきた川口和久さん(65 )。今は故郷の鳥取市にUターンし、ナント農業をしているのだが、実は大のボートレース好きでもある。川口さんにとってボートとは何か、タップリうかがった。
この日、川口さんは埼玉県のボートレース戸田に来ていた。「第57 回報知新聞社杯」(4月10 ~15 日)の4日目。トークショー&予想会のゲストに招かれていた。
10Rこそ177倍の万舟が飛び出しハズしたが、その前の8Rは8点買いで23・8倍を見事的中させてみせた。
「2レース予想して、23倍がとれれば、まあ、うまくいきましたよね。僕は中穴から穴ねらいのタイプ。本命舟券はあまり買わないし、堅いと思うレースは見るだけにしてます。これまでの最高? ははは、よく覚えていますよ。ボートを始めた頃の大みそかの多摩川。当時はまだA2だった福来剛選手が6号艇だったけど、“大みそかに福が来る”で縁起がいいからとアタマにしてスロー勢に流し、確か⑥―①―②で二百何十倍の大当たり。1000円買っていたので、思わず、やったー、万歳と跳びはねていました」
川口さんといえば、4年前の2021年10月、川崎市のよみうりランドの自宅を売却し、故郷である鳥取市に移住し、米農家になったのは知る人ぞ知る話。農業とボートレースの仕事をどう両立させているのだろうか。
「東京・日野市育ちの女房が田舎を気に入って。僕も還暦を過ぎてスローライフを考えていたし、兄貴が故郷で農家をしていたから、じゃあ、米作りをやってみようかと。まだ4年目、試行錯誤中ですが、米農家が本業です。田んぼの広さは5反、1500坪ほど。5月が田植えで、草刈りや消毒、いろいろと毎日作業がありますが、たまに、こういうトークショーとかYouTube配信のゲストなどに呼んでもらえる仕事があって。リフレッシュにもなるので、鳥取空港から朝一番の飛行機でたち、ボート場で仕事をして、また夜の飛行機でトンボ返りというパターン。自宅から空港までは車で5、6分の距離なので、遠征も気になりません。ええ、また明日からは田んぼ仕事ですよ」

ボートファンを前に予想する川口さん
当たり舟券を清算するときの音が、醍醐味
今の時代、スマホがあれば全国24場のボートレースが楽しめ、舟券も買える。川口さんも田んぼ仕事の合間に“テレボート”で楽しんでいるのかと思いきや、違った。
「僕はスマホで舟券は買いません。ボートレースの楽しみというか醍醐味のひとつは、当たったとき、券売機で精算し、お札がザザザーッと数えられて出てくる瞬間。あれがたまらないじゃないですか。マークカードに鉛筆で書き込み、舟券の現物を買って楽しむ。それがいいんですよ。幸いというか、自宅から歩いて行けるところにボートピア鳥取があるんです。だから田んぼ仕事が終わって、風呂で汗を流してから、スポーツ新聞で面白そうなレースを見つけると、ナイターやミッドナイトの最終3レースだけ勝負しに行ったりしてますよ」
立地に恵まれ、故郷でボート生活も楽しむ川口さん。ボートとは、いつどこで出会ったのだろうか? それは次回に。
=つづく
▼かわぐち・かずひさ 1959年生まれ。鳥取城北高からノンプロのデュプロを経て、広島カープ入団。3年目に15勝を挙げ、86年から6年連続で2ケタ勝利。3回のリーグ最多奪三振。プロ生活18年で通算139勝135敗。