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コラム一覧へ戻る公開日
2025年05月29日
18:55
更新日
2025年05月29日
18:55
インタビュー 広島・巨人の元投手 川口和久さん② ノンプロ時代の20歳のときビギナーズラック。現役引退後、それを思い出し、近くの多摩川ボート場へ

上司が買わなかった①⑤を100円だけ買ったら、3000円か4000円になって…
故郷の鳥取にUターンし、農業をしている元広島カープの川口和久さん。ボートとはどうして出会ったのか。広島にはボートレース宮島があるが、カープの選手は出入り禁止とか。川口さんがやり始めたのは巨人で現役を引退した25年ほど前のことだ。
「39歳で現役を引退したあと、TBSテレビの朝の情報番組でスポーツキャスターをやっていたときです。本番が朝8時半に終わって、控えスペースでくつろいでいると、ズラーッと並んだテレビ画面の一つにたまたまボートレースの録画が流れていた。それで、払戻金が出るでしょ。へぇ、そんなに配当つくんだなんて思いながら見ていると、通りかかった番組のナレーション担当の人が『あれ、川口さん、ボートやるんですか』と声をかけてきたんです。実は、ボートはノンプロ時代の20歳のとき、一度だけ大阪の住之江で見たことがあった。職場の課長に運転係でつき合わされて。当時は3連単はなくて、2連単まで。その上司が確か①から4点で勝負したので、僕は抜けた番号の⑤だけを①から買った。100円。そうしたら当たって3000円か4000円になった。そんな思い出があったので、20年ぶりくらいにテレビの画面を見ながら懐かしんでいたんですが、それがきっかけになって、そういえば自宅の近くにレース場があったな、今度一度行ってみようかなと。それが、ボートレースとの縁になりました」

巨人のコーチ時代(原監督と菅野投手を見守る)
ボート番組のレギュラーになって、ますます好きになってしまった
小田急線・よみうりランドの自宅から、ボートレース多摩川までは車で15分ほど。テレビの仕事がない日の午後、奥さんを誘って散歩がてらに出かけたという。
「なぜか最初の年はよく的中しましてね。収支は黒字だった。それを例のナレーションの人に話すと、たまたまその人は他局のボート番組のナレーションもやっていて、『それはすごい、才能があるんですよ。今度、番組に出ませんか」となって。ゲストで出演し、あれこれデータを交えてしゃべったら、プロデューサーが気に入ってくれて、レギュラー出演するようになったんです」
ボート番組のレギュラーになり、ますますボートが好きになっていった。
川口さんにとってボートレースの魅力とは?
「もともと競馬は選手時代から大きなレースだけ、遊び半分でやっていた。巨人に来てからは、オークスやダービー、秋の天皇賞は自宅から自転車で東京競馬場に見に行ったりしてました。その競馬と比べて、ボートはスーッと入りやすかった。16頭とか18頭立ての競馬に対し、ボートは6艇。だからといって、簡単には当たらないけど、それでも6艇だから検討しやすい。予想が組み立てやすい。①が逃げれば、こうなるだろう、④がマクれば、ヒモはこれとこれだな、とか。それでいて、当たれば30倍、50倍の好配当も珍しくない。これは面白いな、推理していて楽しいなとなって、どんどん好きになっていったんです」
多摩川ボート場が自宅から近いこともあって、いつしか週末は、競馬よりもボートを楽しむことが増えていったという川口さん。どんな買い方をしているのか、次回は舟券術を聞く。
(つづく)
▼かわぐち・かずひさ 1959年生まれ。鳥取城北高からノンプロのデュプロを経て、広島カープ入団。3年目に15勝を挙げ、86年から6年連続で2ケタ勝利。3回のリーグ最多奪三振。プロ生活18年で通算139勝135敗。