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コラム一覧へ戻る公開日
2025年06月02日
17:55
更新日
2025年06月02日
17:55
インタビュー 広島・巨人の元投手 川口和久さん③ 対戦打者のクセを頭に詰め込む。野球と同じです、ボートも

勝ち続けるのは無理だけど、大きく負けないことが大事
ボートレースは競馬と違い6艇だから予想しやすく、その割に高配当が出る――ということで、すっかり舟券のトリコになった川口さん。どんな買い方をしているのか聞いた。
「うーん、好きな選手、気になる選手から直感で買うこともあるけど、どちらかといえば、データ重視派なのかな。全国24場の水質や風の影響はだいたい頭に入っています。
体重が重い選手は不利と見られるけど、硬水だったらあまり気にしなくていいなとか。風向きにしても、たとえば多摩川ならよみうりランド側からの左横風が強いと、第1マークのターンが向かい風になるので、加速して回る⑤⑥艇が有利になるとか。そんなことも考慮しながら展開を組み立てます。データを覚え込むことは苦になりません。野球選手時代から、原辰徳さんは内角は強いが、外角のあそこならとか、落合博満さんは外角はめっぽう強いが、内角のここなら安全とか、対戦打者のクセを頭に入れる訓練をしてきましたからね」
川口さん、主催者の番組編成の“サイン”も見落とさない。土日開催ならファミリー向けに初心者でも取れるレースを組むから見逃すなと語る。
「データをもとにあれこれ考え、推理する。そこが面白い。さらに結果が伴えば、もう最高ですね。僕は中穴狙いが多く、点数は6点か8点。絞り切れずに、それ以上の点数になりそうな難解なレースは見るだけにしています。だいたい午後から後半のレースを楽しみ、予算は2万円程度ですね。ボートで勝ち続けることは無理。なので、大きく負けなければいいやくらいの気持ちで楽しんでいます。それが長くやってこれた秘訣なんでしょうね」

カープ時代の川口さん
米農家だけでなく、ミソにソバ。それからボート運転が目標
郷里の鳥取市にUターンし、農業のかたわら、近所のボートピアで舟券を楽しんでいるという川口さんに今後のことや夢を聞いた。
「米作りを始めて、今年で3年目。まわりは高齢化で田んぼ仕事ができない農家が増え、代わりにやってくれと頼まれるので、来年からは今の倍の1町歩(3000坪)の田んぼで米を作るつもりです。田んぼの水の入れ替えやあぜの草刈りもだいぶ慣れてきたけど、鹿やイノシシの多さにはまいっちゃいますね。ネットを張ったり電気棚を設置したり、やることはいっぱいある。でもそれもまた楽しいものです。今は親戚や知り合いに配るだけだけど、米の収穫が倍になったら販売も考えないとね。冬はひまになるので、今年からミソ造りにも挑戦します。来年はソバも栽培して、種を取って自分でソバ打ちしてみようとも思っています。同じ人間、他の人がやれることは自分もできると思うタイプなので、チャレンジすることが好きなんです。そういえば、知り合いが舟を持っていて、よく釣りにも行くんですが、舟に乗っているうちに、自分も免許を取って舟を操縦したくなってね。どうせなら、レース用のボートも運転できるようになって、選手のように走ってみたいとも思ってるんですよ。それが今後の夢ですかね」 (おわり)
▼かわぐち・かずひさ 1959年生まれ。鳥取城北高からノンプロのデュプロを経て、広島カープ入団。3年目に15勝を挙げ、86年から6年連続で2ケタ勝利。3回のリーグ最多奪三振。プロ生活18年で通算139勝135敗。