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インタビュー ラジオパーソナリティー 藤田智子さん② 舟券戦術は2本柱。カンが働いたときは絶対買う。もうひとつは〝男前舟券〟です

ピットの休憩室でチョコやポッキーを食べる選手たちに感銘

 ど素人も同然だった藤田智子さんも、ラジオ番組の取材を通してボートの魅力にのめり込んでいく。そのうち独自の舟券戦術を編み出した。それは――。


 私が1997年にボートレースを知る端緒となったFM尼崎の番組は、13年ほど担当しました。その頃にはすっかりボートにハマってね。現場で聞くナマのエンジン音。勝負を決めにいく1マークでの豪快でカッコいいターン。魅力はたくさんあるけど、最も感銘を受けるのは選手たちのレースに取り組む姿勢ですね。

 だって前検日を含めて7日間も家に帰れず、宿舎にカンヅメ状態。私が現場取材に明け暮れた頃はひと部屋に6人ぐらい一緒に寝るから、他の人が気になって眠れないときもあるでしょう。それでいて、レースはちゃんと体調をコントロールして走るんだからスゴい。

 もうひとつ。ピットではオジちゃん選手たちが休憩室でよくチョコやポッキー、きのこの山など甘いお菓子をポリポリほお張ってる。理由を聞くと「反動だよ、反動」。厳しい生活環境の養成所時代から現在まで、規制と制約の中で過ごしてきたんでしょうね。とてもかわいい光景なんですが、こうした精神力、私には絶対に無理!(笑)

 そんな選手たちには舟券の思い出も尽きません。私の戦術には2本柱があります。まずは勘が働いたときは絶対に買うこと。忘れもしない、徳島支部の強豪女子レーサーだった横西奏恵ちゃん(50)。1999年3月の尼崎GⅡ女子王座決定戦の優勝戦。外枠2艇の前付けで2号艇ながら6コースに入った奏恵ちゃんは、F2持ちなのにコンマ10の絶好スタートから一気の大マクリを決めたんです。配当は2連単②⑤4400円。30通り中18番人気だったから、3連単がある今の時代なら間違いなく万舟でしょう。

 記者席で「よ~し!」と叫んだ私に、肩を落とす記者たちが「②⑤持ってるの?」と。「はい、持ってますよ~」「何でそこを買うの」「だって出走表を見ていたらキラッと光ったんですもの」。会心の一撃でしたね。

20代のときから、ず~っと男前の松井繁選手

「推し活」と一緒だから、負けても納得できる

 もうひとつの戦術は、名付けて男前舟券。真剣に考えてもわからない難解なレースだったら、自分の好きな男前を選んで買うんです。いわゆる私なりの推し活。負けてもスッキリして納得ですよ。

 だから舟券教室などのイベントで「何を買えばいいのか、わからないんです」と嘆く女性ファンには「あなたが思う男前を選んで」とアドバイス。これが意外と的中して「勝ちました~。ありがとう」とお礼を言われることもありましたね。

 この戦術で印象に残っているのが大阪支部のレジェンド松井繁さん(55)。松井さんとはトークイベントで何度もお会いしてますが、ほんと、カッコいいですよね~。だから男前舟券をよく買いました。でもね、私が買うとこないの。追いかければ追いかけるほど逃げられるんです。恋愛と一緒。相性が悪いんでしょうね。そのうちあきらめて、心の中で応援するだけにしました。

 松井さんは20代のときから見てるけど、どんどんイケオジになってますね。「若い頃より男前ですよねぇ、キミ!」ってな感じ。でもね、松井さんにはまだまだ頑張ってほしい。最後にSGのタイトルを取ったのが2014年3月の尼崎クラシックでしょ。あれからもう11年。イケオジさんにはもう一度、どこかでSGを勝ってほしいなぁ。

=おわり

(構成=長浜喜一)


▼ふじた・ちこ 大阪府吹田市出身。ラジオパーソナリティー、イベント司会者、リポーター。現在、西宮コミュニティー局「さくらFM」で毎月第3土曜日13時からの生放送にレギュラー出演中。