COLUMNコラム
コラム一覧へ戻る公開日
2025年09月05日
15:49
更新日
2025年09月05日
15:49
みんなのボートレース学校㉔ 罰則はないが、これをやったら叱られる「ボート界の暗黙のルール」
ツケマイは経験を積んでから
師匠のOKが必要な新人のツケマイ
プロ野球にはルールブックにはなくとも守らねばならない「暗黙のルール」が存在する。それは「6点以上の大差でリードしているチームは六回以降3ボール0ストライクから打ってはいけない」「ノーヒットノーランや完全試合がかかっている場面でバントヒットを狙ってはいけない」などで、これらを破ると故意死球などの報復を受けることになってしまうが、その際も「頭を狙ってはいけない」というルールがある。
ボートレースにもこうした暗黙のルールがいくつかあり、決まった罰則はないが、これを破った場合は他のレーサーから叱責されたり、レースを乱す選手と見なされてしまうことになるわけだ。
レースにおける暗黙のルールは例えば、
①6コースは前付け後、回り直してはいけない。
②前付け抵抗艇の内側へ割り込んではいけない。
③新人は高度なテクニックを利用してはいけない。
④新人は6コースから進入しなくてはいけない。
①については、ボートレースは言うまでもなく1コースが有利だが、外枠の選手がインを取ろうと「前付け」するとレースの展開に大きく影響する。中でも6号艇の選手が前付けしたため抵抗した内側艇が深インになった場合、6号艇が回り直しをすると内側艇が不利になってしまうので6号艇の回り直しは禁止となっている。
②については、例えば前付けを狙った6号艇を1号艇がブロックした際、1号艇の内側にできたスペースに2号艇が割り込んでインを奪うと2号艇が有利になってしまうためルール違反として厳しく叱責されることになる。
③④については、いずれもデビューして間もない新人選手に関するもの。ボートレースには勝つためのさまざまなテクニックがあるが、経験の乏しい新人選手が使って失敗すると大きな事故につながる危険もある。そのため外側の艇が第1ターンマークでコースの内側に絞ってマクリを狙う「しぼり」や、他艇にぴったり寄せ全速ターンで外から抜く「ツケマイ」は基本的に師匠からOKが出ない限りやってはいけないことになっている。
また、新人選手は当初、不利な6コースが当てられることがほとんどだ。それはレースに慣れること、安全にレースを行うことを目的にしているもので、そのため6コースから前付けして内側のコースに入ることは禁止となっている。
この他、レース後の他艇の選手への挨拶にも独特な暗黙のルールがある。それは普通であれば「ありがとうございました」「お疲れさまでした」と言うが、ボートレースでは「すみませんでした」と言うのだ。これは相手に対する謙虚な姿勢を重んじるという昔ながらの、言わばボートレース界の風習であり、レース後に大げさなガッツポーズを見せたり、勝利者インタビューなどで必要以上に喜んだりするのもご法度とされている。