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みんなのボートレース学校㉕ 知っていて損のない「ボート界」不滅の大記録

「絶対王者」松井選手

断トツの獲得賞金41億円 連続「3連単」がらみ62回 グレートマザーが〝感動〟した選手……

 現役女子最年長だった「グレートマザー」こと日高逸子(福岡)が8月19日付で現役を引退した。

 通算勝利2539、通算優勝回数76、生涯獲得賞金11億4400万3198円など数々の記録を打ち立てた日高だが、その中でも特筆すべきなのが2022年3月、尼崎で記録した60歳5カ月での「女子最年長優勝」。女子では還暦を過ぎても現役を続ける選手はなかなかいないため、今後も破られることがないといってもいいかもしれない。

 ボート界には他にも歴史に残る「不滅の大記録」がいくつかある。その一つが松井繁(大阪)の「生涯獲得賞金額」41億5000万円だ。2位の今村豊(山口)が29億4144万円、3位、4位にはどちらも現役の今垣光太郎(福井・27億5150万円)、瓜生正義(福岡・27億4840万円、金額はいずれも25年9月現在)が続いているもののその差は大きい。松井は23年1月、BBCトーナメントで優勝した際、「75歳まで走ってまだまだ稼ぐ」と宣言しているだけにこの金額はさらに積み上がるはず。牙城は揺るぎそうもなく、まさに「絶対王者」と呼ばれるにふさわしい記録といえるだろう。

 ちなみに他の競技を見渡しても、生涯収入で松井を上回るのは競馬の武豊騎手(推定50億円)くらいなものである。

 その松井が打ち立てた「SG優勝記録」12回も素晴らしいが、その上を行く17回をマークしたのが野中和夫(大阪)だ。69年にデビュー、09年に引退するまでの40年間には、当時6つあったSG競走を95年に全て制覇するグランドスラムを達成。さらに翌96年には新設されたばかりのオーシャンカップ競走にも勝って7冠を記録。今に至るも7冠グランドスラマーは野中ただ一人。その強さから「モンスター」と呼ばれ、他の選手から恐れられたのも納得の活躍だった。

 さらに、07年8月6日から10月14日までの約2カ月間一度も4着以下に落ちることはなく「連続3連対記録」62に名前を残しているのが中島孝平(福井)。それ以後、倉谷和信54(大阪・13年)、服部幸男52(静岡・08年)、上野真之介48(佐賀・20年)、赤岩善生47(愛知・21年)といった名うての実力者たちが迫ったものの、いずれもあと一歩及ばず、逆に18年間破られることのない中島の記録の価値を高める結果となっているようだ。

 この他「優勝回数」179(彦坂郁雄・東京)、「SG最年少優勝」21歳9カ月(服部幸男)、「SG最短優勝(デビューから)」2年11カ月(今村豊)、「最年長優勝」71歳2カ月(加藤峻二・埼玉)など「不滅の大記録」と呼んでもいいかもしれない。

 最後にユニークな大記録も紹介しよう。70年のデビューから11年に引退するまでの41年間で歴代最多の94回のフライングを切ったのが上島久男(愛知)。ダッシュからのマクリ戦法を得意としていただけにどうしてもフライングが多くなったが、果敢に攻めるそのスタイルから人気を集め、ファンには忘れることのできない選手となっている。ちなみに「上島さんのレースを見て感動した」と語ったのが日高である。