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みんなのボートレース学校㉙ 「師匠」と「弟子」はどうやって決まる?

白井選手のグランプリ優勝を祝福する今村氏(左)

峰竜太選手は7人もの世話を

ボート界でよく耳にするのが「師匠と弟子」の関係だ。

 福岡県柳川市のやまと学校(ボートレーサー養成所)を卒業した選手たちは全国に18 ある支部のいずれかに所属し、晴れてプロとしてデビューする。

 しかし当初は技術的に未熟、ボート界のルールについても知らないことが多々ある。戸惑ってしまうのが普通だ。

 そこで、所属している支部の、この人だと思う先輩レーサーに弟子入りし業界のしきたりや操縦テクニック、さらにプロペラ調整の方法といったメカニックなどについて教えを請うのが近道で、そこから「師弟関係」が生まれた。

 師匠と弟子は佐藤翼―尾上雅也、菊地孝平―金子萌、菅章哉―西岡成美など1対1が基本。

 しかし、中には2人3人と複数の弟子を抱える選手もいるし、峰竜太に至っては7人もの弟子の面倒を見ている。現在艇界のナンバーワンレーサーにふさわしい人気ぶりだ。

 師弟関係を結ぶのに面倒な条件や手続きは必要ない。「弟子にしてください」「いいよ」、そんな簡単なやりとりがあるだけ。例えば、落語界であれば師匠に弟子入りすると師匠の家に住み込み、師匠の身の回りの世話をするのが当たり前だが、そこまで密ではない。それぞれが常に全国のボートレース場に斡旋されてレースを行わなくてはならないため、ずっと一緒に行動するのは不可能だからだ。

「師匠を持たなくてはならない」という規則はない。特に最近は時代の流れもあってか、師匠を持たず1人で行動する若い選手が増えているのが実情だ。

 それでも深い絆で結びつき信頼し合う師匠と弟子もいる。その例が2020年に引退した今村豊氏と現役の白井英治の山口支部コンビだ。

 2人の師弟関係の濃密さはよく知られてきたが、それが如実に表れたのが22 年12 月18 日の「SG第37回グランプリ」で白井が優勝した時だった。

「初めて師匠に恩返しができました」

 祝福に来た今村氏に白井が黄金のヘルメットをかぶせると、今村氏は、「私が15回チャレンジしても取ることのできなかったグランプリのヘルメットをかぶらせてくれた。白井は最高の弟子、日本一の弟子です」。

 そう言って人目をはばからず号泣したものだ。こんな感動的な姿を見せてくれる師弟コンビはこれからも現れるのだろうか。