COLUMNコラム
コラム一覧へ戻る公開日
2023年12月04日
07:00
更新日
2023年11月27日
19:07
鳥羽一郎さん(上)まぐろ漁船を下りて板前修業時代に初めて行った「津ボート」がはじまり

鳥羽一郎氏
今回からご登場いただくのは演歌歌手の鳥羽一郎さん。ボート歴は50年近い。今はテレボートで興味があるレースを買い続けている。故郷・三重の津ボートでは今年で15回を数える「鳥羽一郎杯争奪戦」が12月に開催される。ボートレースの魅力をたっぷりとうかがった。
◇ ◇ ◇
ボートレースを始めたのはまぐろ漁船を下りて漁師を卒業し、板前をやっていた時かな。もう50年近く前になります。あの当時は親方の言ったことは「はい」と何でも聞かなきゃいけない時代です。親方に「ボートに行くから運転してってくれ」と言われ、「わかりました」って二つ返事で津ボートに行ったのが最初です。
最初はレースを見てもわからないし、舟券の買い方もわからない。あまり興味がなかったけど、田舎にいる間は通っていたかな。3年くらい板前の修業をやって、東京に出てきて「兄弟船」でデビューしたのが1982年。その頃はボートに行く時間はなかったし、忘れていたようなものですね。
それがまたやりだしたのは20年くらい前。やりだしたらその奥の深さにハマっちゃったね。競輪とか競馬は9車とか、18頭とかたくさん走るわけでしょ。でも、ボートは6艇です。場合によっては欠場があって5艇とかの時もある。それでも当たらない。どうしてなのか、それが今もわからない。
スタートしてもう抜かれない、決まったと思っていたら、ゴール前で着順が入れ替わっていたりする。買っていたと思って確かめたら、当たっている買い目だけがないとか。
そうかと思うと、えらい当たる。俺、大丈夫かなって思うくらい当たり続ける時がある。100円買ってたと思ったら間違って300円買ってたりとかね(笑)。勝負運がないのかなと思ったり、運ってやっぱりあるのかな……そんなことを突き止めようと思っているわけです。
結論は、ボートで儲けようと思っている人はやめた方がいい。競馬や競輪で家を売ったという人の話は聞いたことがあるけど、家を建てたなんて話を聞いたことがないでしょ。いや、1人だけいるかな。その人とは最近知り合ったんだけど、競馬で儲けてマンションを買ったそうです。何十年も前の話ですが、競馬をやったのはたった1回。好きな数字が決まっていて、その日はずっと同じ目を買い続けたそうです。それがドンと当たった。それっきり競馬はやっていないと言っていたね。
神がかったというのかね。数字とか、勝負服の色とか……。そんなことじゃないと家なんか建たないということです。でも、僕はすっかりハマっちゃったね。今はスマホで買えるでしょ。しょっちゅう舟券を買ってます。

「争奪戦」が開催される津ボートレース
12月には冠レース「鳥羽一郎杯争奪戦」
これまで行ったことがあるレース場は23場。全部で24場だから1場だけ行っていない。それが三国ボート。いつか行ってみたいですね。
僕がボートを始めた故郷の津ボートで12月16~19日に「鳥羽一郎杯争奪戦」という冠レースをやっています。今年で15回になります。津ボートには600人くらい入れる大きなツッキードームという施設があって表彰式をやります。ステージは2回あって、3曲ずつ歌います(16日)。
「兄弟船」は必ず歌うし、かつて名人戦と言われた、今のマスターズチャンピオン(プレミアムGⅠ)を歌詞にした「名人」を歌ったこともあります。この歌には「大勝負」というフレーズもあります(笑)。
冠レースの話があった時は、ちょっと照れくさかったですね。でも、やるようになってからは「来年はいつ?」なんて言われることも多い。楽しみにしているファンもいるみたいです。
(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)
▽鳥羽一郎(とば・いちろう)1952年4月、三重県鳥羽市出身。82年「兄弟船」でデビュー。紅白歌合戦に20回出場。歌手の山川豊は実弟。