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真中満さん(上)ヤクルトに入団しなかったらボートと出合っていなかったかも

レースが始まると取材中断の本格派(元ヤクルト監督の真中満さん)

 現役時代は勝負強いバッティングで活躍、引退後は監督として2015年に14年ぶりのリーグ優勝を果たした元ヤクルトの真中満さん。プロ野球選手になった年に始めたというボートは今年で30年になる。ボートの魅力を大いに語ってもらった。


 ◇ ◇ ◇


 僕が入団した頃(1993年)、ヤクルトには大卒・社会人出身の選手は3年間、戸田市美女木の寮に入らなくちゃいけないというのがルールとして決まっていたんです。ところが、困ったことに(笑)その寮から車で5分くらいのところにボートレース戸田があった。もし僕がヤクルトから指名されず他の球団に入っていたらボートと出合うことはなかったかもしれませんね。


 最初は、練習が休みの日とか早く終わった時、ボート好きの先輩に誘われてくっついて行っていました。でも、僕は入団してから3年目くらいまではレギュラーを取れずに一軍と二軍を行ったり来たりだったので戸田にいることが多かった。ということは必然的にボートレース場に行くことが多くなるわけで、そのうち1人でも足を向けるようになりました。振り返ってみると当時僕は22歳くらいだったから、もう30年もやっているんですよね。大ベテランじゃないですか(笑)。


 僕がボートにハマったのは当たればお金が儲かるからうれしいし、スリルも味わえるからという至って単純な理由ですよ。あ、そろそろ1レースが始まりますね。ちょっといいですか。


(取材はボートレース江戸川で開催中の「3Daysボートレースバトルトーナメント」最終日。真中さんは1レースを買っているということで取材を中断してテレビ観戦することに。レースは⑤島村隆幸④羽野直也①上村純一と入り3連単2490円で決着)


■80キロのスピード、全速でターン…


 よしよし、やった、当たりましたよ! ①アタマで買わずに⑤④・④⑤で買ったのがよかったですね。こうやって当たるとボートなんて簡単だなと思うんですけどね(笑)。


 ひとレースの予算はそんなに大したことはないです。普段はネット投票で買っていてせいぜい2000~3000円。レース場に行くともう少し買いますが、いずれにしても皆さんが想像しているような、そんなすごい金額ではないですよ。


 僕のボートレースに対する考え方も昔と今とではずいぶん変わってきたような気がします。最初の頃はボートレーサーの大変さとかは一切気にしないで自分が買ったレースをワクワクしながら見ているだけでした。だから、自分が買っている選手がターンを失敗したりすると、何やってんだよって文句をいったりもしていました。


 でも、やっているうちに同じアスリートとしてスタートの緊張感とか勝負どころのレースに臨む気持ちとかを考えながら、レーサー目線でレースそのものを楽しむようになってきたんです。そもそもボートレースって時速80キロぐらいのスピードで水面ぎりぎりを走って他のボートと競い合いながら全速でターンマークを回っていくんですから。素人の僕からするとホントにすごい競技だなと思いますね。 =つづく


 (聞き手=清水一利)