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西橋奈未選手インタビュー 「ツヨカワ女子」を支える〝みねおくん〟

15年間一緒

暮れのQCシリーズ優勝の翌日、金沢の実家が被災

注目の人インタビュー


 2023年の大晦日。オーラスを飾るプレミアムGⅠ「クイーンズクライマックス」と同シリーズGⅢが多摩川ボートで開催されてから、はや2カ月。QCを制したのは浜田亜理沙選手、そしてQCシリーズの優勝は西橋奈未選手(A1、27歳)だった。

 言わずと知れた「ツヨカワ女子」としても注目のレーサーだが、シリーズを制した翌日の元日、実家のある石川・金沢が大地震に見舞われた。期する思いを聞いた。


 クイーンズクライマックスのシリーズGⅢを優勝できたのは「出足関係が出来上がっていたことに尽きる」と言う。2日目、第1走の2Rは4コースから。西橋選手は1周2マークで技ありの抜きを決めた。3日目、第1走の5Rは5コースから鮮やかなマクリ差しで1着。この時点でシリーズの流れを完全に引き寄せていた。

 5日目、①号艇だった準優戦は「1マークでミスった」と言うが、さばき切って逃げを決めた。①号艇の優勝戦。「準優戦のことがあるから冷静に回ろうと思った。2マークで気がついたら(②号艇が)隣に来ていたけど、もし差されても次の1マークで抜き返せる足はあったので」と自信のほどを語った。

 そして多摩川開催について、「年末、東京での開催ということでファンも多かったし、ものすごい声援だった。あの雰囲気はなかなか味わえない」と振り返る。

 オーラスでの勝利。新年を迎えて家族とも祝杯を挙げよう……。そんな矢先、能登半島を震度7の地震が襲った。

 石川県金沢市の実家も強い揺れに襲われ、家の中がメチャクチャになったという。

「でも、家族が無事でよかった。ファンの方からもメッセージをいただきましたが、大変な時にもかかわらず能登の被災者の方からも、『西橋さんの走りを見て元気になることができる。レースで活躍されるのを見守っています』というメッセージが送られてきました。そういう一言がすごくでかくて。私は走ってお返しすることしかできない。これからもめげずにやっていこうと決意を新たにしました」


「常にG1で活躍」が目標

病気から回復。安心して多摩川に行けたのが大きかった

 西橋選手のレーサー生活を支えている大きな存在――それが愛猫の「みねお」くんだ。中学1年の時にバッティングセンターに保護されていた猫を引き取ってきて以来15年間、家族として過ごしている。

 元気なみねおくんだが、糖尿病を患い、昨年11月には腎不全も見つかったという。

「わかった時は命の危険もある状態でした。レースがある時もみねおくんの状態が心配で気にしながら出かけていました。ただ、QCシリーズの時はかなり元気になって、自分でご飯を食べることができるまで戻っていたので、安心して多摩川に出かけることができました。それは大きかったです。みねおくんは本当にかけがえのない家族。少しでも長く生きてほしいです」

 今後の目標はつねに周年などで活躍することだ。

「昨年もQCに出場する12人に残ることを目指しました。今年ももちろん目指しますが、無事故でできるだけプレミアムGⅠ、周年記念のGⅠには出場したいと思っています。記念などで活躍しないとファンに名前を覚えてもらうことができませんからね。すでに締め切られましたが、5月に多摩川で開催される(SG)オールスターの投票もありましたし。今年はプレッシャーがかかる場面でも結果を残して次につなげたいと思っています」

 能登半島地震からの復興の一方で、北陸新幹線が敦賀まで延長され、3月16日にはボートレース三国の地元・芦原温泉駅にも停車する予定だ。

 (聞き手=峯田淳)