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みんなのボートレース学校⑱ 知っていて損はない 選手間の同期の絆

個々の真剣勝負

語り草の瓜生正義選手と原田幸哉の友情

 ボートレースはスタートからゴールまで個人対個人の真剣勝負。そこには忖度や遠慮といった余計なものが入る余地は一切ないといっていいだろう。

 しかし、レーサーとて人の子だ。プライベートでも付き合いがあるほど仲がいい相手もいれば、逆にどうしても気が合わない犬猿の仲という相手もいることは確か。舟券作戦を立てる上では、そんな選手間の情報も多少は知っておいて損はないはずである。

 仲がいい、気が合うということでいえば、同期は概して仲がよく結束が固いものだ。というのも、同期生は福岡県柳川市にある全寮制の「ボートレーサー養成所」に入って1年間毎日、プロのレーサーになるための訓練を受けることになっているからだ。入学者が次々と途中で脱落するという厳しい生活をともにするだけに、卒業後も普通の学校の友だちとは違う、より深い関係を築くのだろう。

 艇界を代表するトップレーサー瓜生正義と原田幸哉は1995年にデビューした76期の同期生。2人の仲の良さはつとに有名であり、2人の間にはこんなエピソードがある。

 2002年、ボートレース平和島で開催されたSG「第49回全日本選手権」でのこと。SG戦に初優勝した原田のモーター整備に何かとアドバイスしていたのが自身もまだSG戦を勝っていなかった瓜生だった。ちなみに、他の選手の整備に実際に手を出すことは禁止だが、助言することは許されており、瓜生が原田のSG初優勝に少なからず貢献したことになる。

 そして、そこから5年後の07年、笹川賞優勝戦で原田が瓜生に友情をお返しするかのようなシーンがあった。1号艇の瓜生と2号艇の松井繁が1周目2マークで先頭を競った際、トップを取りにいった3番手の原田がダンプ(先行している艇がターンを行おうとしているところに接触しはじき飛ばす技)を松井に仕掛けたのだ。もともと原田はダンプを得意としていたが、その結果、瓜生が念願のSG初優勝を飾ることになり、このエピソードはファンの間で語り草になっている。「同期の絆」をあれこれ研究してみるのも楽しいかもしれない。