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コラム一覧へ戻る公開日
2024年08月24日
18:11
更新日
2024年08月24日
18:11
名勝負物語⑦ SGドリーム戦で史上初の夫婦対決 山崎智也VS横西奏恵
「貴公子」こと山崎智也選手
大きな話題となったSG「第38回笹川賞」(2011年5月24日)の新婚さん
2022年4月、SG11勝、GⅠ31勝をマークした「ボートレース界の貴公子」山崎智也が突然の引退を発表。余力を残しての早すぎるリタイアは多くのボートファンを驚かせ、そして、残念がらせた。
その山崎の良き伴侶として長年支えてきたのが自身も徳島支部所属の元レーサーとして活躍した横西奏恵。女子王座決定戦優勝3回、生涯勝率6・84、17連勝(いずれも女子歴代1位)など数々の輝かしい戦歴を誇る横西を、今でも歴代最強の女子レーサーに推すファンも少なくない。
そんな2人が11年5月24日、ファン選出によるSG「第38回笹川賞」のドリーム戦で激突した。夫婦が同じSGのドリーム戦で顔を合わせるのは史上初めてとあって、ファンの関心を集める大きな話題となった。
レースは①山崎、④横西の他に②今垣光太郎、③浜野谷憲吾、⑤今村豊、⑥松井繁というドリーム戦にふさわしい豪華な顔ぶれ。結婚からわずか5カ月後の新婚さんということもあってか、①=④の折り返し2連単舟券が「ご祝儀舟券」として売れに売れたのも当然だったかもしれない。
「最強の女子レーサー」だった横西奏恵選手
先マイの①夫を④新妻が差して一騎打ちに
レース前、横西は、
「2人をファンの人たちが選んでくれたからには恥ずかしくないレースをしないと。4号艇なので気持ちだけは負けないように、攻めるレースをしたい」
と語っていたが、スポーツ紙が「結婚後初の夫婦喧嘩!?」との大きな見出しを打ったこのレース、スタートは全速で握った④横西、①山崎、③浜野谷がほぼ横一線。
1マークを山崎が辛うじて先マイするも、狭いところを強引に割って入った横西が巧みに差してバックストレッチはアウトを踏ん張った山崎と外の横西の一騎打ちに。相譲らぬ両者だったが、1周目2マークは横西が先マイ。外を握って山崎が攻めるも、横西は先頭を譲らずトップを独走する。
と、そこへ迫ってきたのが⑤今村。夫婦ワンツーを狙う山崎をかわして2着に上がるとそのまま④⑤①でフィニッシュ。3連単3万5860円の高配当となった。
レース後、愛妻の勝利を祝福するように笑顔で話しかけた山崎と、勝利が信じられないといった様子の横西。そのほほ笑ましい姿にファンは改めて2人の結婚を祝福したものだった。
(清水一利)