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イチ押し ツヨカワ女子レーサー 實森美祐選手 28歳 注目の人気レーサーの強みと泣きどころ

原因不明の難病と襲われるも、デビュー6年目で念願のA1入り

 桐生で開幕中の「プレミアムGⅠ 第11回ヤングダービー」。30歳以下の若手精鋭レーサーが集まる祭典だが、“ツヨカワ”ファンの注目は實森美祐選手(119期・広島支部・28歳)だ。病気とFに苦悩しながらのヤングダービー初参戦。スピード自慢の男子選手相手にどんなレースを見せるか楽しみだ。


「119期は西橋奈未、土屋南、そして實森の“美女3人組”が人気。その中で2020年に初優勝を挙げた西橋(通算6V)、土屋(3V)に対して、實森は具体的な原因がわかっていない大腿骨萎縮症という難病にかかりしばらく治療に専念していたこともあり、初めての優勝はライバル2人から約3年遅れの23年11月で、現時点で優勝はその1勝のみ。その素質は誰もが認めるところだけにファンは巻き返しにずっと期待して応援しています」(担当記者)

 父親と宮島ボートに行った時、レースの迫力に一目ぼれ。高校(広島県立大門高校)時代に2度ボートレーサーの試験を受けるが不合格。高校を卒業後、歯科衛生士の専門学校に進むもあきらめきれず休学し、アルバイトをしながらジムに通って体力強化。3度目の受験で夢をかなえた。

 16年11月の宮島でデビューするも2走目で早くもF。勝てない日々が続いたが、157走目の17年12月10日平和島2Rでプロ初勝利を飾った。

 広島支部の角ひとみ(61期)に弟子入りし、勝ち星も増え勝率もアップしていた矢先の19年初頭。突然、病が襲った。

 病名は「大腿骨萎縮症」。骨から血が出たり、骨粗しょう症になって痛みが生じたり、骨折を起こすこともあるが、治療方法は自然治癒しかないという原因不明の病気だ。

 この大きな病を乗り越え、復帰したのが4カ月後の5月11日の徳山。長期休み明けにもかかわらず初戦を大外6コースからまくり差しで見事1着を勝ち取った。

 デビュー6年目の22年1月には念願のA1級に昇級。新人レーサー憧れのトップルーキー(登録6年以内のA1級)にも選ばれ、さらにキュートな顔立ちから人気もうなぎのぼり。同年5月の宮島第49回オールスターにファン投票18位でSG初出場を決めた。このオールスターでは予選4日目に2勝をマークし準優に進出。5着に敗れ優出は逃すも存在感を強烈にアピールしたものだ。

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21優出で優勝1回の課題は何か

 ここ2年間は、Fが2本続いてB1へ逆戻りの時期もあったが、昨年11月の丸亀では待望の初優勝を飾っている。

 今期(5月~)は宮島GⅡレディースオールスター(5月)で優出2着。7月の丸亀同4着、続く戸田同3着とし、勝率も6・63まで伸ばしてきているのだが、あと一歩。課題は何なのか。

「地元の宮島で開催された今年5月のGⅡレディースオールスターで實森の強さを目の当たりにし、思わず鳥肌が立った。2日目の7R。3コースの實森は強気に握って1マークを全速旋回。スリットで先行した内2艇をひとのみし、豪快なマクリを決めてみせた。この男勝りのターンスピードこそ實森の最大の武器で、近年は攻撃型スタイルにますます磨きがかかっている」(在阪記者)

 ただ、通算21優出で1Vは物足りないところだ。一昨年の丸亀PGⅠレディースチャンピオンでは優勝戦で絶好の1号艇をゲットしながら痛恨のF。本人が「とにかくメンタルが弱くて自信のなさがレースに出てしまう」と漏らす精神面が課題となっている。

「前出の宮島GⅡで、そうそうたる格上女子レーサーを尻目に優出2着に突っ込んだように、勢いに乗れば1着を重ねる力がある。一方でモーター調整が不調の時や苦手水面ではモロい面が出てしまう」(前出の在阪記者)

 この2つの課題を克服した時、正真正銘、本物のツヨカワとなるだろう。