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コラム一覧へ戻る公開日
2025年03月27日
18:33
更新日
2025年03月27日
18:33
インタビュー 元吉本芸人、イベント司会者の島あたるさん① 〝兄さん〟に初めて連れて行かれた住之江で3万円の勝ち

「競馬と比べたらボートは簡単やろ」
予想会などの名物MCとして知られる島あたるさんは、舟券購入はもちろんレーサーとも公私にわたって親交を深めるなど、ボートレースにどっぷりハマり込んでいる。そのきっかけは、当連載にも登場して大きな反響を呼んだあの吉本芸人だった。
島あたる(以下=島) 冨好さんですよ、ちゃらんぽらんの冨好兄さん。ボクはもともと競馬、パチンコなどのギャンブルが好きで、ある日の楽屋で競馬新聞を見ていた。そこに兄さんが入ってきて「おっ、競馬か?」「はい。ボク好きなんです」。すると兄さんはあきれ顔でこう言うんです。「動物が18頭も走る。そんなん当たるハズないやろ。雲をつかむような話や。オレ、昼からテレビ局の中継で住之江ボートに行くからついてこい!」
冨好は大のボート好きとはいえ、兄と息子が現役レーサーだったため舟券は買えない。その悲哀物語が小欄で人気を博したが、イベントやテレビでの予想はできる。
島 乗り気じゃなかったんです。競馬に比べてボートと競輪は鉄火場のにおいがして、トラブルに巻き込まれるんじゃないかと怖いイメージがあった。恐る恐る入場したら兄さんは「1着は8割がた当てられるで」と、赤ペンで出走表の12Rすべてに丸をつけた。ほとんど1号艇だったけどね(笑)。そして「コレを頭に固定して、あとは5人で走る2連単だと思え。たったの20通りやないか。競馬の18頭立て3連単の天文学的な確率に比べれば簡単なもんやろ」と。ナルホドとその気になって買っていたら、なんと3万円ほど儲けた。兄さんは「なっ。馬やなく人がすることやから分かんねん」と得意げでしたね。

ボートファンを前に、軽妙なおしゃべりと進行を
「トントンでええわ」が信条
折しも吉本興業はボートレース振興会とタイアップし「キョウテイダイガク」という予想会を全国24場で展開していた。
島 学長は坂田利夫さん(故人)でね。ステージで漫才だけじゃなく予想もする。ギャンブル好きの芸人がかき集められ、ボクにはよく声がかかった。24場すべて足を運んだけど、行ったらどうしても舟券を買いたくなる。買いたくなるから覚える。それで勝って喜び、また買いたくなる。逆に負けたら負けたで悔しいから、取り返そうとまた買いたくなる。ホンマ、やめ時がありませんわ。ある大先輩から「バクチで家建てたやつは見たことないが、潰したやつはぎょうさんおるで」と聞いた時は「コッワ~」と思いました。でも、ボクは「トントンでええわ」という考え。だって25%控除される中で勝つのはかなり難しい。舟券で遊ばせてもらい、夏なら場内は涼しくお茶も飲める。それでチャラなら勝ったも同然ですよ。そうこうするうちにマスコミやボート関係者とも仲良くなり、いろんな話を聞く中で選手の人となりにすごく興味を持つようになった。選手を単なるレーサーではなく「人間」として見るようになったんです。
そんな島が腹の底から感服した個性派レーサーがいる。その体験エピソードとは――。=つづく
(構成=長浜喜一)
▼しま・あたる 本名は島津江英樹。1970年8月3日生まれ、大阪市出身。 吉本興業のお笑いカルテット「電車道」のボケ担当で人気を集め、引退後は全国のボートレース場でイベント司会者として活躍。派遣会社社長。